
書籍「SHOW YOUR WORK! 」感想
オースティン・クレオン Austin Kleon
実務教育出版
売り上げランキング: 27,407
実務教育出版
売り上げランキング: 27,407
世の中の偉大なアーティストたちは皆、数多くの素晴らしい作品を生み出すから認められるのか?
誰もやらないようなことをやり遂げるから賞賛を集めるのか?
結果は確かに必要だけれど、そこに至るプロセスあってこその結果。
そしてそのプロセスは誰にでもできる小さな「シェア」の積み重ね。
人は他人に完璧なものものだけを見せたいと思いがちだけれど、過程やアイデア・作品を小出しにして、誰もが見つけられる形にする(show your work)だけで何倍ものリターンを得られることもある。
そういう事例を著名なアーティストの言葉とともに紹介しているのが本書。
1.天才である必要なんてない
2.成果ではなくプロセスで考えよう
3.毎日ちょっとずつ共有
4.好奇心の棚を開け放とう
5.物語の腕を磨こう
6.知っていることを教えよう
7.スパム人間になるな
8.パンチの受け止め方を覚えよう
9.裏切ったっていい
10.とにかく続けよう
上記が本書の目次になるのだが、言い回しは違えど、いずれも今まで自分が周りの尊敬する方に言われてきたこと。
デザイナーやアーティストに関わらず、やりたいことを実現したい人すべてに共通する、根本的な考え方が多く掲載されている。
より多くの人に関心を持ってもらうための手法として、オンラインでの公開を主に推奨しており、今の時代にきちんと合った内容になっている。
印象に残ったところ
ぐうの音もでないような正論を言われても、なかなか実行できないのが内気な人の心理だったりするのだが、本書はそういう人のためにも一つの心構えを授けてくれている。自分の「死」についてきちんと考えること。
病気や事故などで死の瀬戸際に追い込まれたことで人生観が180度変わった、という逸話はしばしば耳にするが、
それは時間が有限であることを強く意識し、人生という大きな枠で今やっていることの意味を考えるようになるからだろう。
「死ぬ気でやればなんでもできる」はただの根性論ではなく、リミットまでに目的を成し遂げるためになりふりかまわず最速の道を選択できる考え方なのだと解釈できる。
以前友人から「仕事が早く、優秀な人は自分の死についてもとても深く考えている」という持論を聞いたとき、当時は話半分に聞いていたのだが、ここにきて真面目に考えるようになった。
本書ではその「臨死体験」を擬似的に作り出すアイデアも紹介されているので、気になる人は読んでほしい。
図版が多く、文章量はさほどないので、じっくり読んでも2〜3時間くらい。
捉え方によっては「知ってる」で済ませられることだけど、それがいかに価値あることで、一人でがむしゃらに手を動かすよりも効果があるかが書かれているので、結果が伴わないすべての人、必見。